若さしか取り柄がない!

若さしか取り柄がない女子大生もとい社会人が、語ったりスベったりするブログ

私の日本記録

私の凡庸な人生で、唯一人よりずば抜けている記録がある。それは、アルバイトの連続不採用回数だ。その数、なんと15回以上である。

 

輝かしい記録が樹立されたのは、大学1年の春から夏、ちょうど今くらいの時期のことだ。新歓のビラまきの洗礼を受けたり、飲み会に初めて出たりと、初々しい一女としての生活が始まった時代である。アルバイトもほとんど初めてだったので、ワクワクしながらどこで働こうか考えたものだ。

 

周りの友達は、飲食やアパレルで働いている子が多かった。私も当たり前のように、飲食店や服屋の面接を受けたのだが、なぜか私に限っては怒涛のお祈りラッシュなのである。就活生ならいざ知らず、うら若き世間知らずの18歳には、永遠と続くかのような不採用は衝撃的だったのを覚えている。

 

すごく奇抜な見た目だったわけでもない。今でこそ黒金のツートンヘアーだが、当時は落ち着いた茶髪である。全国の大学1年生の平均的髪色を地で行く、超清純・チョコレートブラウン(ちょっとプリン)といったところだ。面接にもごく無難な服装で行っていたし、メイクもアイプチがひん曲がったり、唇が天ぷら食べた後みたいになったりしてはいたけれど、まあ一般の範疇だったと信じている。もし奇抜だった部分があるとしたら、顔面の造形くらいのものだ。しかし美人ばかりがバイトしているわけでもあるまいし、いくらマニア向け顔面とはいえここまで落ちまくるのも腑に落ちない。

 

15回以上というのはなかなかの数字のようで、縋るように「バイト 不採用 連続」とか検索しても、私ほどの記録保持者にはほぼ出会えなかった。「3連続で落ちました…」とか「5連続で落ちるのって普通ですか?」という質問が飛び交う中、私は燦然と輝く2ケタ記録を携えて、ネットの海を彷徨ったのである。むろん、私の心を支えてくれそうな情報は全く見つからず、「普通にしてれば受かるやろ」みたいな論調に気圧されただけであった。

 

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普通とはなんなのか。18歳の私は、そんな哲学的問いに飲み込まれそうになっていた。しかし同時に、私はあることに気が付くことになる。

 

落とされるたび、私は強くなっている。

 

そう、私は面接で落とされるたび、履歴書を買い足すたび、自分の精神が強靭になっていくのを感じていたのであった。バイトを15回以上連続で落とされるなど、世間の大学生の何割が経験するだろうか?私は自分の作った記録で日本人の上位数%に入るという、これまでの平凡な人生にない稀有な経験をしているのだ。それが何であれ、誰よりすごい記録を持つって悪くないんじゃないか。そんな気持ちが芽生えたのである。そんな開き直りが功を奏してか、私はその後も順調にバイトに落ち続け、ようやく最初のバイト先に拾ってもらったのは7月のことであった。大1にして、求職歴は実に4か月近くである。

 

もし、2年前の私のように、バイトに落ちまくって落ち込んでいる大学生がいたら、声を大にして言いたい。

 

2ケタ回数以上連続で落ちてから落ち込め。話はそれからだ。

 

ちなみに現在の私はというと、立派な体たらく学生である。在宅ワークで微々たる収入を得つつも、根本的に労働に向いていないようで、睡眠時間をたっぷりととるニートチックな生活スタイルが確立されている。私を落とした面接官たちは、非常に見る目があるなと思う今日この頃である。