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若さしか取り柄がない!

若さしか取り柄がない女子大生による独演会場。

春にまつわるエトセトラ

春はあけぼの、春眠暁を覚えず。4月も中旬に差し掛かり、こんな言葉も似合う季節になってきた。うちの大学のキャンパスにも、きっとキラキラの新入生が溢れていることだろう。留年のイエローカードが1.7枚くらい出ている私からすれば、彼らの輝きを目の当たりにするのはなかなか心をえぐられる。留学で新入生が視界に入らないのは、至極ラッキーである。

 

ところで、「春」という字が季節以外の意味を持つことはご存知だろう。そういった意味で、私の住む寮の部屋は、今年初頭から春爛漫である。3か月以上ほぼ毎日、夜11時くらいになると喘ぎ声が聞こえるという事態が続いているのだ。

 

私の住む寮には、一つの共用リビングと、5人のルームメートそれぞれの寝室の計6つのスペースがある。廊下に沿って3つずつ、向かい合わせに部屋が配置されている形だ。最初に事を始めたのは、私の隣の部屋に住む女の子である。それは1月初旬の夜だった。やけに規則正しい振動音がするなと思ったら、追ってエロティックなスイートボイスが聞こえてきたので、瞬時に事態を理解したという運びだ(それ以降今日まで、隣人は2日に1回くらいの割合で儀式を執り行っている)。

最初は部屋の位置と私のスルースキルの欠如のせいもあって、特にベッドの軋む音が煩わしく、悩まされたものだ。聞こえている旨を伝えるべく、振動音のリズムに合わせてギターを鳴らしてみたことも数度ある。しかし効果は現れず、結局私のコードチェンジがスムーズになっただけであった。

 

こういう空気は伝染するのだろうか。3月ごろになると、なんとはす向かいの部屋のルームメートまで頻繁に事を行うようになった。しかし、このころになると私も慣れたものである。むしろ部屋が隣接していない分、振動音の音量が段違いだ。事の始まりに応じてラジオのボリュームを上げる私の顔には、余裕の表情さえ満ちるようになった。

 

そうこうしているうちに、4月も半ばである。我が寮の春めきに、ダブリンの空気もようやく追いついてきたようだ。最初の夜から3か月以上の時を経て、今や私のスルースキルも輝かしいものになっている。事後、帰り際の男と鉢合わせしても華麗に笑顔を向け、たまの音がしない日にはカップルたちの仲を案じて少し心を曇らせる、そんな境地に達することができた。人間鍛錬を重ねれば、多少のことには乱されない心を持つことができる。実はこの気づきこそ、私が留学で得た一番の成果なのかもしれない。